大半の就活生は、「ずっと働く会社だから…」という想いを持って、会社選びをしています。確かに理想の会社に出会い、人間関係も良好で、キャリアを順調に重ねていきながら、給料もアップしていくことができれば、それに越したことはありません。ただ実際には、多くの社会人が慎重に選んだ会社を退職して転職するという事実があります。
20~60代の社会人男女500人を対象に行ったアンケートの結果によると、その半分以上が転職を経験しています。そのような結果が出ている中で、転職の可能性を考慮しない就職活動は大きなリスクを伴うと言わざるをえません。では、具体的に転職をすることを前提とした場合にどのようなことが想定できるでしょうか。
実際に転職した社会人がどのような理由で転職をしたのか、リスクモンスター株式会社が実施した「社会人の転職事情アンケート」調査(12月14日~12月15日実施) のデータをもとに解説して行きます。
最短の在籍期間から見る転職のタイミング
転職の目安は、5年。転職を想定した就職活動を行う重要性
「1年以上~3年未満」(回答率25.4%)が最も多く、続いて「3年以上~5年未満」(同19.4%)、「半年以上~1年未満」(同13.8%)の順となっています。転職を経験した人の9割近くが、5年以内に転職をしています。
あくまで目安となりますが、5年という一つの節目で転職をするのであれば、どのような選択肢があるのかということを就職活動の中で考えておくことが大切です。
3年での転職は第二新卒、スキルや経験を活かした転職は5~7年が目安
キャリアハイの記事「転職するなら何年目が良い?3年目・5年目は難しい?転職成功ポイントを解説!」で紹介されている通り、転職の時期によって、転職先企業の受取り方も変わってきます。業界や業種によって異なる部分はあるものの、即戦力を求める転職市場において、スキルや経験をどの程度持っているかがとても重要です。
転職を視野に入れるのであれば、3年、または5年の間に社会や業界で評価されるスキル、知識、経験が習得できる環境で働いた方が、選択肢は増えるということになります。
転職理由からみる新卒で入社する会社を選ぶ基準
ネガティブな転職にならないように守るべき選定基準
「人間関係」(回答30.0%)が最も多く、続いて「給料」(同26.9%)、「労働時間」(同21.9%)の順となっています。上位の3つ理由は、会社を選ぶ際に絶対に妥協してはいけない部分だと改めて気付かされます。
人間関係は、なかなか見えづらい部分もありますが、20代で1位と2位になっている給料と労働時間は確実に客観的な数値として判断できます。
「やりがいがあるから、多少の残業や給料の安さは気にしない!」
そんな言葉をよく聞きますが、社会経験が少ない中で、やりがいという不確定な要素を重要視し過ぎてしまうことはリスクです。「やりがい」「給与」「休み」の3つのうち、2つは確実に押さえておくことをお勧めします。
転職するときの武器を身につけることができるように
そして、唯一前向きな要素として挙げられていることが「スキルアップのため」(14.8%)です。
個人のスキルアップ、仕事の幅を広げるなど、自己成長に繋がるような働き方を求める学生や社会人が増えてきています。会社選びの際には、3年働くと、どのようなスキル、技術、知識、経験が得られるのかをしっかりと確認しましょう。入社後にもし人間関係や給料、労働時間などの問題が出てきたとしても、「このスキルを身につける」という目標が明確にあれば、仕事を続けるモチベーションになっていきます。
転職を前提にして行う就職活動のまとめ
就職活動で検討しておくべき3つの課題
- 5年で会社を辞めることを想像する
- 転職理由となる3つの問題点に該当しないか確認する
- 出口(ゴール)を想像する
5年で会社を辞めることを想像する
入社して5年で辞めることを想定した時に、在籍している5年間で何を得ることができるのかを考えましょう。
スキル、ネットワーク、資格など、その会社で得られる社会的、業界的に価値の高いものは何かを調査し、見極めましょう。
転職する要因となる3つの要素をどのように見極めるか
人間関係、給与、労働時間の3つについて、少なくとも2つ以上が当てはまる会社を選びましょう。
具体的に下記のようなことを確認して、重要度を下げないようにしましょう。
人間関係 → 社員の方と話す、退職者と話す、その会社のお客さまに話を聞く
給与 → 初任給はもちろん、昇給の基準、何を満たせば、満足する給与がもらえるのかを確認します
労働時間 → 勤務時間、残業時間、休日出勤、残業代の支給、等を確認します。
出口(ゴール)を想像する
短期的、中期的、長期的な出口(ゴール)を想像しておきましょう。
入社初年度は、がむしゃらに働けば良いかもしれません。しかし、2年目以降に雑務や日々の定型業務を負担に感じたり、苦しくなってしまうことがあります。明確にゴール設定をすることで、そのために頑張るというモチベーション維持にも繋がります。
終身雇用制度の崩壊が叫ばれる昨今、こういった転職というものを身近なターニングポイントとして、あらかじめ想定をしておくことで、新卒で入社する会社の選び方というものは、180度変わる可能性もあります。
5年間で何を得て、どのような成長をして行き、何を実現したいのか、こういったことを考えながら、ぜひ、今の就職活動を見直して、理想の会社を探してみてください。